アニメ映画『心が叫びたがっているんだ。』の批評

アニメ映画の『心が叫びたがってるんだ。』を見たので、その批評をしていく。

 

正直言って、面白かったし、感動した。テーマ性も素晴らしい。

 

前半はどうなるかと思ったが、後半はしっかりとまとめてきたし。特に良かったのは、ミュージカルという題材だろう。かなりうまく使えていた。

 

『心が叫びたがってるんだ。』通称『ここさけ』の監督は、『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』の監督である、長井龍雪が勤めている。

 

『ここさけ』は、『あの花』と同じく秩父が舞台のアニメである。なんとなくテーマを似ていて、青春時代に誰しも感じる閉塞感がテーマだ。

 

誰しもが、高校生の時に心の中で思ってしまうこと。しかし誰も本気で表現しないものをアニメにしたなーと。

 

大葉せんせいは、このアニメを見て不思議に思うくらいだった「空想のキャラクターなのに、なんでこんなに感情移入できるのだろう…」

 

誰でも、お口にチャックしちゃうよね

 

「心が叫びたがってるんだ。」の主人公は、おしゃべりが原因で両親を離婚させてしまった過去を持つ。そのときに、卵の紳士が現れて、主人公の口にチャックをしてしまった。

 

『ここさけ』は、こんな感じで始まるのだが、このテーマってみんな共感できるよなーと。

 

誰しも言いたいことがあるのに、心にしまって言わなかった経験がある。つまり自分の口にチャックをしているのだ。

 

映画の後半で、卵の紳士なんていなくて、主人公の口にチャックをしていたのは、主人公自身だという話が出てくるが、現実でも、そういうことだよなーと。

 

『ここさけ』を見たときに、これこそアニメでやるべき題材だなーと感じた。

 

というのも、実際に卵の紳士なんていないし、それから全くしゃべらないというのも俳優にやらせるには、極端な設定だ。

 

しかしアニメなら、「誰しも心にチャックしてしまう」という現象の本質だけを抜き出して、「全くしゃべらない」と変換しても、違和感がないからだ。

 

現実で起こる小さな問題を極端な設定にすることで、本質を抜き出すことができる。しかしこれは、アニメでしかできない表現なのだ。

 

『ここさけ』終盤で、主人公が好きな人に向かって、罵る。「ワキが臭い。良い人ぶってる」とか。それを主人公が好きな人は全て受け止める。それでも、主人公と好きな人は、別に仲が悪くなることはなく、むしろ好きな人は、主人公に人間味を感じるのだった。

 

これがこの作品の本当のテーマ。人は誰しも、口にチャックをして、言いたいことを言わないようにしているけど、実は言いたいことを言った方が仲良くなれる。しかし多くの人は、感情を隠した方がコミュニケーションが上手くいくと考えているのである。

 

あーなんて悲しいことだろう。このジレンマこそが、『ここさけ』や『あの花』の切なさになってくるんだろうなーと。

 

おそらくだけど、世の中のコミュ障と言われている人の原因もこの辺にあるのかもしれない。

 

心の思うままに、しゃべった方が良いよという研究

「人は心の思うまま、正直に話したら、人間関係はどうなるのか?」という研究がある。その研究によれば、実は、心を隠さずに思うまましゃべった方が、良い関係を気づけることが分かっています。

しかし人間は、心の思うままにしゃべると人間関係を壊してしまうと考えるのだそう。そして、自分から心を隠しすようになるのだと。

 

これって、『心が叫びたがってるんだ。』のテーマそのまま。誰しも心の中に、卵の紳士がいて、ふとした瞬間に口にチャックをしてしまう。しかし心を隠すよりも、思うままにしゃべった方が、良い人間関係を気づけるのである。

 

『ここさけ』って、実は人間関係の本質をテーマにしていて、かなり踏み込んだ内容だと感じた。作り手の熱意や言いたいことが真摯に伝わってくる良い作品だったなーと。

 

『悲愴』と『オーバーザレインボー』が重なるのが最高

 

『心が叫びたがってるんだ。』の中で、高校生たちがミュージカルをやるシーンがあるのだが、そこが感動せざるを得ない!

 

ミュージカル好きの大葉せんせい(劇団四季ファンクラブ会員)が見ても、分かってるなーと感じる出来だった。

 

特に良かったのは、ベートーヴェンの名曲『悲愴』と映画オズの魔法使いの名曲『オーバーザレインボー』がオーバーラップするところ。

ミュージカルには、異なるメロディの曲を同時に歌うという、かなり高度なデュエットというやり方がある。

 

例えば、アナ雪の『生まれて初めて』とか。劇団四季の『もしも』とか。

 

まさか、『悲愴』と『オーバーザレインボー』がデュエットできるなんて…かなりの大きな発明だと思う。

 

クラシックを使うという選択肢は良かった

 

映画の中では、オリジナルのミュージカルをやる。その中で、曲はクラシックを応用しようということになり、クラシックの替え歌でミュージカルをやることになる。

 

この辺も、ミュージカル分かってるなーっていう感じがする。

 

というのもミュージカルは、同じメロディをたくさん使うことで、お客さんに覚えてもらえるようにするやり方が常套手段である。

 

というのも、人間はたくさん聞いたことがある曲の方が良い曲と感じるのだ。これを単純接触効果という。

 

ミュージカルでは、劇の初めにオーバーチュアという、劇でよく出てくるメロディを詰め合わせた曲を用意したり、リプライズといって、同じメロディに違う歌詞をつけるなど、いろいろなやり方で同じメロディを繰り返す。

 

しかし学生のやる演劇では、同じメロディを繰り返すだけの時間がないので、そもそもよく聞いたことのある曲を替え歌しようってのは、かなり良いやり方だったんじゃないかと。

 

もし学生でオリジナルミュージカルをやりたいとなったら、『心が叫びたがってるんだ。』方式がスタンダードになるんじゃなかな。

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