超実写版『ライオンキング』は、本当に実写なのか?
「フルCGってことは、アニメじゃないの?」って思っている人多いですよね。
今回は、その疑問に回答を出しますよ!

超実写版『ライオンキング』なんて発想、ディズニー以外できませんよね笑。
『シンデレラ』とか、『美女と野獣』を実写化するのなら、わかるんですが、『ライオンキング』なんてライオンしか登場しませんからね。それを実写と見間違うほどのCGでやろうとするのが、さすがディズニーだなーと。
ただ、大葉せんせいは、この『ライオンキング』が実写化すると聞いたときに違和感がありました。
「実写?フルCGだよね?フルCGって、アニメの分類になるんじゃないの?」ってことです。
実際、この問題を疑問に持っている人が多いので、「実写か?アニメか?」という疑問に答えますよ!
超実写版『ライオンキング』は、実写なのか?アニメなのか?
2019年に公開された『ライオンキング』のCGがキレイすぎて、話題ですよね。
監督は、アイアンマンシリーズやジャングルブックのジョン・ファブロー氏。マーベル作品に出てくる、ハッピー役としても有名です。
その監督が作る映画の特徴は、超高精細なCG。
『ジャングルブック』でも、ビックリするようなCGを使って映画を作っていました。
部分的には、CGと見分けがつかないほど。
ライオンキングも、本編映像の99.9%はCG。
オープニングのアフリカの大地に日が昇る部分だけ実際の映像を使っています。
実写と見分けがつかないってことは、つまりライオンキングは、実写なのでしょうか?それともフルCGアニメなんでしょうか?
今回は、ライオンキングが実写なのか?それともアニメなのか?を考えていきます!
アニメとは、何か?
まず、『ライオンキング』が実写か?アニメか?を考える前に、アニメとは何かをハッキリさせときます。
アニメとは…画面内に映るものを全て管理しようとする試みです。
『オネアミスの翼』などの作品で知られる、ガイナックスを立ち上げた岡田斗司夫氏によれば、「アニメとは、画面内に映るものを全て管理すること」と言っています。
アニメの源流は、全て手書きで、1枚1枚アニメーターが作画していました。
つまり、何を書いて何を書かないかは、人間の意思によって決められていたことになります。
そこには、アニメに映るものが100%、人の意思があったことになります。
それに対して、実写の映画は、どうでしょうか?
実写映画では、監督が画面に映るものを100%管理することは出来ません。
エキストラがどんな顔の人なのかは、監督が知るところではないですよね。
実写では、自然環境も完全には操れません。
実写映画は、そういった偶然性を活かして作っているのです。
そこにアニメと実写の違いがあります。
[box class=”blue_box” title=”アニメと実写の違い”]
アニメ=画面内を全て管理する。
実写=偶然性を活かす。
[/box]
この定義から考えて、『ライオンキング』が実写なのか?アニメなのか?を考えていきます!
物理シミュレーションを使っている点において、実写!
『ライオンキング』は、フルCGなので、物理シミュレーションを利用しています。
例えば、動物の毛並み。ものすごい数の毛が、風が吹けば揺れるってすごいですよね。
毛は何万本もあるので、毛の1本1本をCGアニメーターが動かしていたのでは、作業量が膨大になってしまうので、物理シミュレーションを利用しています。
物理シミュレーションとは、毛がどれくらいの重さ、固さなのかを入力して、風が吹くとどう動くのかをコンピューターに計算させる方法。
CGアニメでは、よく使われています。
参考に『アナと雪の女王』の動画を貼っておきますね。このエルサの髪を見ると、風と一緒に自然に動いていることが分かります。
つまり物理シミュレーションは、人間の意思ではなくて、コンピュータが違和感のない動きを自動で作成するので、実写に近い試みと言えるでしょう!
ただ、物理シミュレーションをした上で、細かい部分は、人の手で動かしている部分もあると思います。なので物理シミュレーションは、基本的に実写で、少しアニメと言えるのかもしれません。
自然シミュレーションも実写の試み
超実写版ライオンキングでは、かなりキレイな自然描写が特徴的でした。
この自然もコンピューターのシミュレーションで作られています。
大葉せんせいが行った、ピクサーのサイエンス展で、CGの草木などを自動で生成する展示がありました。
[word_balloon id="1" position="L" size="M" balloon="line" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="true[…]
これによると、草の長さや密集度、草の曲がり具合のパラメータを入力すると、コンピューターが計算して勝手にCGを生成してくれていました。
そう考えると、あの超実写な自然描写は、コンピューターによって自動生成されたものだと思われます。
つまり自然の造形は、人間の意思が入っていない点で実写と言えるでしょう!
ライオンキングの実写に近づける、カメラの試み
超実写版ライオンキングでは、より実写に近づける試みがたくさん行われています。
その中でも、面白かったのが、カメラのモーション取り込み。
ライオンキングは、フルCGなので、もちろんカメラは必要ないんですが、カメラを用意して使ったそうです。
超実写版『ライオンキング』では、ドリーと言われる、前方向にカメラが進むアングルを撮るために、実際に駐車場にカメラとレールを用意して、ドリーをしました。
そのドリーの動きをパソコンに取り込み、映画のカメラの動きに採用したのです!
なんでこんな手の込んだことをしたのでしょう?
実は、CG世界でカメラをドリーさせると、ものすごい違和感が生まれます。なぜかというと、CG世界には、慣性がないから。そのため、なんだかヌメーッとしたドリーになってしまうのです。
CG世界でドリーをして、気持ち悪いドリーになってしまった映画がありました。
それが『ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 エボリューション 』
どんなドリーになっているのか、動画を貼っておきます!
ポケモンに対して、ライオンキングのドリーは、かなり自然です。
https://www.youtube.com/watch?v=48shkNRWfQs
予告編では、分かりにくいかもしれませんが、映画本編だと明確な差がありました。
『ライオンキング』の方が、自然なカメラワークになっていて、映画本編に集中できます。
このカメラのモーション取り込みは、実写と認定して良いでしょう!
動物のモデリングなどは、アニメ。
超実写版『ライオンキング』が実写に近いと話してきましたが、逆にアニメに寄っている表現はないのでしょうか?
もちろん『ライオンキング』は、アニメな部分もあって、それが動物のモデリング。
『ライオンキング』では、どのライオンなのか、観客が見分けが付くように、それぞれのライオンに特徴がありました。
もし『ライオンキング』で、実物のライオンを使っていたら、観客がライオンの見分けがつかなくなっていたと思います。
ライオンのCGモデリングは、自動生成ではなくて、完全に人の手によるものなので、アニメと言えるでしょう。
超実写というには、部分的にCGぽさが残る
超実写というわりには、『ライオンキング』は、少しCGぽさが残っているなーと思うシーンもありました。
岩の表現や像の皮膚です。
自然界の岩や像の皮膚は、かなり複雑な形状をしてるので、本気で作り込んでしまうと、レンダリングに時間がかかるのでしょう。CG映画は、1秒間に24枚の画像を連続で見せることで映像にしています。そのため最終的にCGを1枚ずつの画像にするのですが、複雑なCGはそのレンダリングという作業に、時間がかかってしまいます。
例えば、ピクサー映画の『インサイド・ヘッド』では、時間のかかるシーンで、1枚の画像に処理が36時間かかっています。
つまり超実写版の『ライオンキング』は、より精彩なCGを使っているので、もっと時間がかかっているはずです。
CG映画は、パソコンの処理能力との闘いでもあるのです。
まだ、『ライオンキング』では、CGぽさがほんの少し残ってしまっていました。
【結論】モデリング以外は、実写!
ということで、結論に入っていきたいと思います。
『ライオンキング』は、実写なのか?アニメなのか?
大葉せんせいが思うに、『ライオンキング』は…
実写!!
正直ジョン・ファブローの超実写版『ライオンキング』は、実写の要素の方が多いと感じました。
つまり画面に映るものを監督が管理しているのではなくて、ある種の偶然性を作品作りに活かしているなーと。
いろいろ言ってきましたが、まさしく超実写版という名にふさわしい映画なんじゃないかと!
『ライオンキング』のCGすごすぎますよね!笑
