みなさんCATSを見てどう思ったでしょうか。
よく分からなかったという人が多いんじゃないかと予想しています。
しかし個人的にCATS好きな作品でして、みなさんにも良さ知ってほしいと思いました。なので楽しみ方を解説していきます。
ミュージカル版もそうなんですけど、CATSって極端に上級者向けなんですよねー。
CATSのあらすじ
キャッツのあらすじは、こんな感じ
満月が輝く夜。若く臆病な白猫ヴィクトリアが迷い込んだのはロンドンの片隅のゴミ捨て場。
そこで出会ったのは個性豊かな 〝ジェリクルキャッツ〞 たち。ぐうたらな猫、 ワイルドな猫、お金持ちでグルメな猫、勇敢な兄貴肌の猫、不思議な力を持つ長老猫…様々な出会いの中でヴィクトリアも自分らしい生き方を見つけていく。
そして今宵は新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜。
一生に一度、 一夜だけの特別な舞踏会の幕が開く
これを読んでなるほどなーと思った方は、相当理解力が高い。
キャッツって、もともとは、TS・エリオットの詩集『ポッサムおじさんの猫と付き合う方法』でして。実は、ストーリーとかそんなものは無いんです。
詩集をミュージカルにするために、無理やりTSエリオットの詩からグリザベラ(娼婦猫)という題材を見つけてきて、テーマ性を持たせたのです。
なので基本的には、詩的な世界観を楽しむという見方が正解であって、普通の映画の感覚でいくと全く理解できません。
だってストーリーが無いんだから。
なのでCATSの楽しみ方を簡単に言うと、詩だと思ってみることです。
詩の朗読会だと思って見にいくと、驚くほど楽しめますよ!
物語の真相
CATSは、複雑で詩的な世界観をもっていて、理解するのは難しく見えるので、どんなお話だったか解説していきます。
CATSは、猫が転生する話です。作者のT・S・エリオットは東洋思想にハマっていました。
劇中には、猫の第3の名前は、瞑想から生まれるという描写もあるようにCATSは、東洋思想にインスパイアされています。
東洋思想の死生観は、輪廻転生思想。
つまりT・S・エリオットは、CATSで輪廻転生を描いているのです。
輪廻転生とは、死んだのちに”あの世”で六道に転生するかを振り分けられます。
六道とは以下の6つ
- 道(てんどう、天上道、天界道とも)
- 人間 道(にんげんどう)
- 修羅 道(しゅらどう、阿修羅道とも)
- 畜生 道(ちくしょうどう)
- 餓鬼 道(がきどう)
- 地獄道(じごくどう)
これは僕の妄想かもしれませんが、CATSでは、物語の最後にグリザベラが転生を行いましたが、死ぬ描写はありませんでした。そのことを考えるにCATSの世界は”あの世”だと考えられます。
あの世から、六道への転生を行う者を決めるのが、ジェリクルの祭りだったんじゃないかなーと。
で、なんでグリザベラがジェリクルキャッツに選ばれたのかというと、1番欲のない猫だったから。
グリザベラが若い時には、いろいろな欲があったんでしょうけど、すでに欲といえば「みんなと仲良くしたい」っていうだけで、1番欲のない猫(悟りを開いた)だったから転生したのです。
幸福感って、所属感だよね
映画の監督をしたトム・フーパーが映画のテーマとして語っていたは、「所属感」です。
所属感とは、人がコミュニティに参加している感覚のこと。
ブリンガムヤング大学の研究でも、人生の意味を感じるためには所属感が重要だみたいなはなしになっています。
ということで、CATSのメインテーマって、実は「所属感」でして、所属がなかったグリザベラがみんなと仲良くという気持ちが理解されて、ジェリクルキャッツメンバーに所属できるっていう話でもあります。
映画版の主人公でもある、ヴィクトリアにも言えることですね。
基本的には、その辺のテーマが分かっていれば、鑑賞する時に困ることはないかと思います。
ただ何も知らずに見ると、なんじゃこりゃなんで、ご注意を。
CATSのCGがスゴい
映画『CATS』の見所は、ビジュアルがカッコいいところですね。
特にCGは、なかなかレベルが高くて、2020年だからこそ公開できた映画ですね。
監督も2017年だったら「技術的に不可能」2018年だったら「お金がかかりすぎて不可能」だと語っています。
CATSのCGのどこがスゴいのかいうと、役者の表情を丸々活かしたままCGと合成する技術です。
これは映画『アリータ: バトル・エンジェル』で開発されたパフォーマンス・モーションキャプチャーって技術、もしくは似た物を使っているんだと思います。
『アリータ』でも役者の顔の演技を活かしたままCGを融合させることを成功させました。
それには役者の顔にマーカーを付けて、さらにトラッキング用のカメラをつけて撮影しなければいけません。
『アリータ』のパフォーマンス・キャプチャーは、ジェームズキャメロンが新作の『アバター』を制作するために作った技術だと言われています。
『アリータ』の公開が2019年だったことを考えると、この技術を実際の映画に使えるようになったのが、2018年・2019年ごろだったということですね。
これがCATSの撮影風景です。
個別のカメラは使っていませんが、顔にもしっかりマーカーをしてますね。
巷では、人間の顔と猫のCGの融合がキモいと言われていますが、ミュージカル版もそうですからね。今さらという感じでしょう。
まとめ
CATSって、ロングランヒットをしている割には、見る人を選ぶ作品なんですよね。
今回の映画もめちゃくちゃ人を選びます。
ですが映画版は舞台版と比べると、新キャラのヴィクトリアを主人公にして描いていて、その視点で追っていくので、その分ストーリーは追いやすくなっていますね。
グロウルタイガーとか、マキャベティとか、無理やりな感じとかもありますが、比較的初心者向きにはなっているんじゃないかと。
しかしやっぱり大葉せんせいがオススメするのは、劇団四季の舞台版です。
やっぱり映画でダンスや歌が上手くても編集しまくれるので、感動が薄いですが、舞台版はノー編集なので、迫力が違います。
なのでCATSを見ようと思った方は、迷わず劇団四季版をオススメします!