
大葉せんせいが言うまでもなく、絶対に観にいくべき作品ですよ!
前半まネタバレ全くなしで書いていくので、まだ観てない人は、参考にしてください。
後半は、ちょっとだけネタバレありなので、映画を観てからの読んだ方がいいですよ!
今すぐ、『天気の子』を観にいけー!!!!
[kanren postid=”208″ date=”none”]実写よりも綺麗な世界
新開誠作品のスゴイところの1つは、映像がビックリするほど綺麗なこと。
その新開誠の作家性は、『天気の子』でも健在でした。ビックリするほど綺麗で、普通のシーンでも見入ってしまうほど。
なので、出来るだけ良いプロジェクターがある映画館で見ることをオススメします。IMAXとか。
大葉せんせいが、『天気の子』を観て思うのは、実写よりも綺麗だなーってこと。
すでにアニメ表現は、実写を超えているんだなって。
新開誠監督って本当にスゴイ、東京があんな風に見えているなんて。超人的な感性を持って、東京を見ると、あーやって見えるのかもしれませんね。
アニメ界最高の映像美、映画館で確かめてください!
よりアニメを現実に近づける試み
今回の映画『天気の子』で、印象的なのは、登場するものが、全部実在のものってこと。
例えば、主人公がカップラーメンを食べているんですけど、
それが
[box class=”blue_box” title=”劇中に出てきた実在のもの”]
『日清』のカップラーメンだったり。
バイトを探すのも、『バイトル』
雑誌も『ムー』だし。
[/box]
そして1番驚いたのが、劇中に登場する風俗求人の宣伝カー。実在の宣伝カーになっています。
普通に考えると、ファミリーで見るような映画に、風俗求人の宣伝カーなんて、明らかにダメなような気がします。
ですが、あえて実在のものを出しました。
新開誠監督が何がしたかったかというと、「アニメを現実に近づける試み」なんです。
アニメって、現実の綺麗な部分ばっかりを切り抜きがちだけど、世界って綺麗なものばっかりじゃないですよね。
そしてアニメを現実に近づけて言いたかったことは、「この世界は、表の部分で出来ているワケじゃないっていう」でもあります。これは『天気の子』のテーマにもつながる部分。
今回の『天気の子』の映像が、『君の名は』の映像と違っているところ、それは汚いものは汚く描くということ。
『君の名は』では、綺麗じゃないものまで、綺麗に描くことで、新しい映像を作り上げていました。
しかし『天気の子』では、汚いものは、汚く描くという挑戦をしています。
なんでそんな挑戦をしたのかというと、その方がリアリティを感じるから。
今回の映画『天気の子』は、そんなリアリティにこだわった作品なんです。
『天気の子』の嘘は1つだけ。それ以外は現実。
『天気の子』の中で、嘘は1つだけ。
ヒロインの天気を晴れにする能力だけです
そのほかは、ビックリするくらい現実的。
例えば、気象の表現。
気象の監修として、気象学の研究者が参加していることもあって、気象の表現としてものすごくリアル。
そのほかはに、カメラワークも超絶リアル。
カメラを動かしながら撮ったとき、被写体の距離によって動き方が変わって見えます。
遠くのモノの動きは遅くて、近くのものは速い。
『天気の子』でも、そういった動きを再現していて、映像への没入度を高めてくれます。
細かな部分も全部表現してやるといった気迫のある作品でしたね。
誰にでも共感できる天気というモチーフ
今回の映画は、天気がモチーフになっていることもあって、全員が共感できるものになっています。
なので、劇中に出てくるセリフの全てに共感することが出来ます。
[box class=”blue_box” title=”劇中のセリフ”]
「なんでこんなにも天気に心を動かされるんだろ…」
「晴れるだけで、明るい気持ちになる」
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この映画をみて、誰しも考えると思います…
[box class=”blue_box” title=”映画を観て、みんなが考えること”]
「人間の心って、こんなに密接に天気とも繋がっているんだ」
「晴れって、こんなにも良いことなんだ」
[/box]
当たり前だけど、こういう見過ごされがちな価値観を再認識をさせてくれますよ!
タイトルも『天気の子ども』にしなかったのも、“子”とすることで、人類全員を表したかったら。
改めて、天気っていうモチーフの共感性はスゴイですね。
今までも、新海誠監督は、空の美麗な描写をしてきました。
その集大成とも言える今回の作品を観ないワケにはいきません。
新海誠監督作品の時事性
『君の名は』で、新開誠監督が、東日本大地震後の日本というのを強く反映させていたように、『天気の子』も強く時事性があります。
公開する2019年は、日本全体としては、貧困に向かっている中で、来年には東京オリンピックを迎えるというカオスな時期。
新海誠監督も、パフレットの中で、現代日本が貧しくなっているということに言及しています。
ヒロインの天野陽菜も、そんな貧困の少女の1人。
陽菜の設定も現代では、特別かわいそうな設定でなもなく、見慣れたものに感じました。
日本に起きていることを上手く切り取っています。
心に響くセリフ
主人公たちが、ホテルを探しているときのセリフが印象的でした。
「今の僕たちに何も足さず、何も引かないでください」
でも主人公たちは、全く幸せな状況では、ありませんでした。
なのになんで、何も足さずと言ったのでしょう。
それは「神さま、ワガママは言いません。私たちは幸せな状況ではないですが、これ以上何も望みません。ですから、せめて現状よりヒドイ状況には、しないでください」という主人公の悲痛な祈りなのです。
驚くくらい切ないシーン。
こんなシーンを持ってこられて、心が動かないワケがありません。
新海誠の言葉って、スゲーなって、純粋に思ったセリフの1つでしたね。
音楽との親和性
今回も主題歌・劇伴を担当しているのは、RADWINPS。
『君の名は』に引き続いて、新海誠監督とタッグを組んでいます。
一言で言うと、音楽最高。
女性ボーカル採用として、話題になっていた曲の1つ『グランドエスケープ』を担当した、三浦透子さんは、1年かけて決められたそうです。
ボーカル採用に1年ですよ。
ものすごい、こだわりがあることがわかります。
『君の名は』に引き続いて、映像と音楽のシンクロに感動させられますよ!
ここからは、ネタバレも少し含まれますので、鑑賞後の方が良いかもしれません
天気の子のテーマとは?
『天気の子』のテーマとは、ズバリ「表には裏があって、行動には責任がある」ということ。
あんまりネタバレせずに語りたいので、なかなか踏み込んだことは言わないでおきます笑。
例えば、東京という場所を汚くも、綺麗にも描ける新海誠だからできたテーマだと感じました。
新海誠監督が、なんでこのテーマにしたのかというと『君の名は』のアンチテーゼ。また夏休み映画のアンチテーゼでもあります。
絶対見たほうが良いですよ。
見たあと、テーマについて考えるのも面白い作品ですね。
人間は歴史上、天気が人と繋がっていると考えていた。
『天気の子』の天気の価値観は、近現代以前の天気についての価値観と共通しています。
どういうことかというと、人間の天気の捉え方って、元々は『天気の子』で起きたことに近いってこと。
むしろ人間の歴史の中で、天気は人と繋がっていると考えていた時間の方が長かったのです。
日本でも昔は、雨を止ませるために、人柱を出していたのです。
つまり人を生贄にする代わりに、神様に天気を変えてもらおうとしていたのです。
そー考えると、1人の力で天気が変わってしまうというのは、人間の歴史の中では、一般的なことだったんだなと。
「空は、海よりもずーっと広い、未知の世界」だとすると、人が天気と繋がっているという考え方も面白いなーと感じますね。
帆高くんが東京ですること
日高くんが、3年後東京にきたときに住んでいるアパートで、東京農工大のパンフレットが映ります。
これが何を示しているのかと言うと、日高くんが農工大で環境哲学を学ぼうとしているということ。
環境哲学とは、どんな学問なのか引用します。
哲学は、自然環境だけでなく、生活環境・社会環境の保全に寄与しうる、私たちの人権や環境権といった価値を生み出してきた側面をも併せもっています。
だから哲学は、環境破壊的な思想を生み出すと同時に、私たちの環境を保全する思想を生み出してもきたのです。
つまり、どういうことかというと、帆高くんは、環境が変わってしまった社会で、最適な社会をデザインしようとしているのです。
なんでこんなことをしようとしているのかというと、単純に陽菜さんを救いたいから。
劇中歌の歌詞からもそのことが分かります。
世界が君の小さな肩に 乗っているのが
僕にだけは見えて 泣き出しそうでいると
…
小さな僕の 有り余る今の 大きな夢は
君の「大丈夫」になりたい 「大丈夫」になりたい
RADWINPS『大丈夫』の歌詞より
世界の形を変えてしまった、陽菜さんは、ものすごい罪悪感を抱えて生きています。
その陽菜さんを救うためにも、社会を今の環境に適応させたいと、考えているからこその進学先なのでしょう。
最後に願っていたこと。
晴れにする能力を失った陽菜さんは、東京の降り続く雨に罪悪感を感じています。
3年間もずっと…
「私が、帆高くんを選んでしまったばっかりに、東京が海に沈んでしまった」と。
陽菜さんがケータイを持っていない理由もここに繋がってきます。
ケータイがあることで、帆高くんとは連絡を取り合うことができます。
ですが陽菜さんは思うはず
「自分だけ幸せになっても良いのか?
東京を沈めて、私だけが帆高くんと笑ってて良いんだろうか?」
そう考えると、最後に陽菜さんがなんで祈っているのか分かります。
晴れにする能力が無くなった今も、晴れになりますようにと毎日祈っているのです。
【まとめ】良い映画の条件とは?
大葉せんせいが考える、良い映画の条件は「映画を見た後に、世界が変わって見える」こと。
その基準で考えると、確実に『天気の子』は、世界の見え方が変わってしまう良い映画でした。
普段より、もっともっと天気に注目するようになるでしょうし、天気によってもっと感情が動くようになったと思います。
劇場アニメは、こうでなくっちゃ!
みなさんも劇場で絶対見てください。
アニメって、良いよなーって、思える作品でした。
それでは、大葉せんせいでした。
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